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メアリー
vol2. 熱海に暮らす。自然と生きる。 海と山と温泉と共に、豊かに暮らしていくための防災マニュアル
海あり、山あり、温泉あり。豊かな自然に抱かれた別荘地としの歴史を持ち、近年も首都圏からの移住先としていっそう注目を集める熱海。
熱海で暮らす、熱海で事業を始める。そう考えた時に、避けては通れないのが、自然災害のリスクです。
熱海での災害をどのように考え、想定し、備えれば良いのか。
全6回に分けて、マチモリ不動産代表・三好さんにお話を伺います。
第2回目となる今回は、災害を想定して普段から備えるべきモノ・コトについて考えていきます。
第2回 備えあれば憂なし。でも、何を揃えたらいいの?
災害の「3つの期間」ってなあに?
メアリー「こんにちは、メアリーです。前回は、ハザードマップを見ながら、現在暮らしている熱海で災害が発生したらどのようなリスクがあるのか、について考えてみました。うかうかしてはいられませんね、今すぐ防災グッズを買いに行かなければ…!」
三好「ちょっと待った。メアリーさん、”防災グッズ”って、何を買いに行くつもり?」
メアリー「えっと…ヘルメットとか?最近は防災グッズがセットになった袋も売っていますし、とりあえずそれを買っておけば安心かな〜と。」
三好「一式揃った防災袋は手っ取り早いけれど、何がいつ、どういう場面で必要になるのか考えた上で準備しないと、ただ買って満足、になってしまわない?」
メアリー「むむ、確かに…。」
三好「せっかくなので、一緒に考えてみましょうか。メアリーさん、災害に3つの期間があるというのは、聞いたことがありますか?」
メアリー「3つの期間、ですか?」
三好「まずは、災害が起きた直後から、丸1日までの発災期。2日目から一週間程度までの被災生活期。そして復旧が始まってからの復旧期。この3つの期間に分けて考えます。たとえば、さっきメアリーさんが挙げたヘルメットは、いつ必要になるものでしょう?」
メアリー「地震の直後の落下物に備えるものなので…発災期ですかね?」
三好「その通り。では、次の被災生活期に必要なものも、同じでしょうか?」
メアリー「2日目以降…あ、水や非常食、ないと困るかも。」
三好「そうですね。我々は普段ひとまとめに災害時、と言いますが、状況はめまぐるしく変化していきます。加えて、雨や雪、気温などの気象条件まで想定してみると、どうでしょう。能登半島の地震では、真冬の寒さの中での避難生活を余儀なくされました。」
メアリー「冬は防寒具が必須ですね!3つの期間ごと、そして季節ごとの想定、盲点でした…。」
三好「1日の中でいつ災害が起きるか、も合わせて考えてみましょう。日中外出している時なら携帯できる備えが役に立ちますし、夜間の被災なら、自宅に懐中電灯が欲しいところです。」
メアリー「さまざまな時期や時間に分けて考えてみることで、備えるべきものが明確になってきますね。」
期間や時期、時間帯を設定して考えれば、必要なものが見えてくる!
熱海で、わたしの暮らしで、何が起こるだろう?
メアリー「よし!期間別に必要なもの、整理できました。災害が起きたらすぐ持って出られるよう、ひとまとめにして家の玄関に置いておきます。」
三好「おっと。前回の復習ですが、メアリーさんの住んでいるような鉄筋コンクリート造の建物は、自宅避難が原則です。」
メアリー「あ、そうでした…つい、災害というと逃げる、というイメージが先行してしまって。」
三好「そして、メアリーさんの住まいは海の近く。建物自体は頑丈でも、周辺の地盤が液状化すると1週間以上、外に出られなくなることもありえます。被災生活期の備えは7日分が目安とされていますが、メアリーさんのような場合は食料や簡易トイレなどを、少し多めに準備しておくと良いかもしれません。」
メアリー「どこに住んでいるかによって、必要な備えが変わってくるということですね。」
参考資料:非常持ち出し品(赤十字チェックリスト)
三好「自宅避難の場合は電気やガス、水道といったライフラインの停止も想定して、カセットコンロや浄水器があると安心です。ちなみに、水を汲んでくる際にはビニール袋に入れて、リュックサックで運ぶと楽みたいです。」
メアリー「リュックにはそんな活用法もあるんですね!小さいお子さんがいたり、ペットがいたり…個々の状況によっても、備えるものの内容は変わってきそうですね。自家用車のある方は、車にも何か準備しておいた方が良いのでしょうか。」
三好「落下物が散乱しているなど家の中で避難生活を送ることが困難な場合には、車中泊が選択肢となります。そうした場合に備えて、ブランケットや食料、携帯ラジオなどを積んでおいても良いでしょう。」
メアリー「携帯ラジオですか。スマートフォンでもラジオは聴けますが…大規模な災害が起きると、通信途絶や回線の混雑でインターネットが使用できない可能性もありますもんね。」
三好「スマートフォンに関して、気をつけなければいけないのは電池切れ。私は伊豆山の災害で被災した際に、スマホの充電が途中で切れてしまったんです。その経験から、今ではモバイルバッテリーを複数台持って、自宅、職場に置いているほか、鞄にも入れて持ち歩いています。」
メアリー「モバイルバッテリーのほかに、持ち歩くべきものはありますか?」
三好「コピーでも構いませんが、身分証明証、保険証は携帯しておきましょう。これらはデータ保存した上でコピーを取り、自宅、職場、持ち歩き用とそれぞれ保管しておくのが望ましいです。」
住居や家族の構成員など、自分の状況に合わせて、必要な備えを検討すべし!
参考資料:非常持ち出し品の準備について(熱海市)
今日から準備を始めよう!
メアリー「自宅避難を想定して、非常食は多めに購入しようと思います。でも私の家、小さな1Rなのでスペースが取れるかなあ…。」
三好「なるほど。ではメアリーさん、ローリングストックを実践してみませんか?」
メアリー「ローリングストック?」
三好「ローリングストックとは、賞味期限の古い食品から消費し、消費した分を買い足し、常に一定量の食品を備蓄していくことです。買い置きのスペースを少し増やすだけで済みますし、定期的に備蓄を入れ替えることで災害への備えを見直す機会にもなります。」
メアリー「缶詰などを使ったローリングストックのレシピも、たくさん公開されていますね!非常食というと味気ないイメージがありましたが、こうして料理も楽しみながら災害時に備えられるなら、さっそく始めたいです。」
三好「さて、ここまでは備えるモノの話をしてきましたが、ここからは備えるコトについて。安否確認の手段を考えてみましょう。」
メアリー「私ならまずは家族、会社に電話すると思います。あとは、SNSで友人に連絡を取りますかね。」
三好「不特定多数に対して自分の安否を発信するにはSNSが有効ですね。例えば、Facebookにはセーフティチェック(災害時安否確認機能)もあります。また、災害時には電話が混み合うので災害用伝言板*1、災害用伝言ダイヤル*2などは比較的繋がりやすいです。また避難をする場合には、避難先や家族の状況をメッセージボードや紙などのメモに残し自宅ドアに貼っておけば、心配して訪ねてきた人を安心させることができます。」
*1 携帯電話・スマートフォンから安否状況を登録し、インターネットなどを通じて安否状況を確認できる伝言板
*2 携帯電話・スマートフォンなどから音声を録音・再生できる、声の伝言板
メアリー「色んな方法があるんですね。どの方法で連絡を取り合うか、家族や友人と事前に相談しておいた方がよさそうです」
三好「大規模な災害が発生すれば、一時的な避難ではなく移住を検討する必要が出てくることもあります。そういった事態も想定し、家族や親しい人と災害時の対応について日頃からコミュニケーションをとっておくことも大切な備えですね。」
食品の備蓄やコミュニケーション、日頃から災害時を意識して
さいごに
ひとくちに「防災」「災害に備える」と言っても、その内容は3つの期間や、個人の状況によってさまざま。
具体的な期間や時間を想定し、自分の暮らしを見直すことで、自分に必要な備えが見えてきました。
さっそく、近所のホームセンターで防災グッズ、スーパーでローリングストック用の食品を購入してきました。浄水器など近隣の店舗で見つけられなかったものは、ネット通販も活用して揃えていきたいです。
通勤カバンにはキーホルダー型のホイッスルを装着。モバイルバッテリーも忘れず持ち運びます。
また、私は一人暮らしですが、お子さんやペットがいるご家庭ではどのような備えをしているのか、他の方のお話も伺ってみたいなと思いました。
次回は番外編「防災まち歩きレポート」。専門家をお招きし、実際に熱海の街を歩きながら、どのように災害に備えるか…を考えてます。3回目のテーマは、「建物特性・利用者特性・地域特性の3つの特性」。そちらの内容を元に、今後の備えについて考えていきたいと思います!
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