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DATE2024.03.11

この記事を書いた人

メアリー

vol.1 熱海に暮らす。自然と生きる。 海と山と温泉と共に、豊かに暮らしていくための防災マニュアル

 

 

海あり、山あり、温泉あり。豊かな自然に抱かれた別荘地としての歴史を持ち、近年も首都圏からの移住先としていっそう注目を集める熱海。

 

熱海で暮らす、熱海で事業を始める。そう考えた時に、避けては通れないのが、自然災害のリスクです。

 

 

 

 

熱海での災害をどのように考え、想定し、備えれば良いのか。

 

今月から、全6回に分けて、マチモリ不動産・三好代表にお話を伺います。第1回目はみなさんも一度は耳にしたことがある、ハザードマップについて。

 

街の雰囲気や見た目だけではわからない土地の特徴・自宅周辺の環境や避難ルートなど、実際にどのような行動をとれば防災・減災につながるのか。ぜひ、一緒に考えながら記事を読んでいただけたらと思います。

 

 

 

第1回:ハザードマップってなぁに?どんな情報を見たらいいの?

 

 

【ハザードマップとは】

自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図。防災マップ、被害予測図、被害想定図、アボイド(回避)マップ、リスクマップなどと呼ばれているものも。(引用:国土地理院

 

 

 

熱海では、何が起こる?

 

 

メアリー「こんにちは、メアリーです。私は1年前東京から熱海に移住したのですが、海が近いので、津波が来たらどうしよう…という不安があるんですよね。」

 

 

三好「豊かな自然は熱海の魅力の一つ、そして同時に災害リスクとしても、とらえられます。けれど自然災害は、山、海、川に恵まれたこの国で暮らしている方なら、誰しも見舞われる可能性があること。なので、しっかり想定して、準備をしていきましょう。」

 

 

メアリー「はい、備えあれば憂いなし、ですよね。」

 

 

三好「その通り。熱海に関していえば、海が近いだけでなく、坂が多いですよね。」

 

 

メアリー「熱海で暮らすようになって、足腰強くなった気がします。」

 

 

三好「急斜面の場所では、地震によって斜面が崩れたり、地すべりが起きたり。大雨の際には土石流も想定できますね。熱海は街なかに糸川・初川・和田川の3本の川が走っているので、河川の氾濫にも気を付ける必要があると思います。」

 

 

メアリー「確かに!熱海では過去に災害でどの程度の被害が出たのでしょうか。」

 

 

三好「歴史を見ると、1923年の関東大震災の際には、最大12mほどの津波が押し寄せたと言われています。銀座町で言うとだいたい、今のニューフジヤホテルのあたりまで波が来たとか。」

 

 

メアリー「えっ!銀座商店街の一帯すべて、波に飲まれるんですか…」

 

 

三好「今は8mの堤防があるので、同じ規模の地震が起こったとすると、街に流れ込むのはおよそ4m。国道135号線のあたりまでですかね。」

 

 

 

 

 

メアリー「海から遠く離れた場所まで避難しなくても大丈夫、ってことですか?」

 

 

三好「いいえ、135号線より上にいれば安心、ということではありません。津波が川をさかのぼり、川から水があふれて街へ流れ出す可能性もあります。また海辺のエリアは波が到達しないとしても、液状化現象が心配ですね。」

 

 

【液状化現象】

地盤が強い衝撃を受け、ドロドロの液体のようになる現象。地盤から水が噴き出したり、建物が沈んだり傾いたり、地中に埋まっていたマンホールや埋設管が浮かんできたり、地面全体が低い方へ流れ出したり、といったことが発生する。(引用:国土交通省

 

 

メアリー「うーん、なるほど…そういった様々な災害の可能性について、何を見て、学べば良いでしょうか。」

 

 

三好「まずは、地形の特性について、情報を得ることが必要ですね。メアリーさん、熱海市のハザードマップは見たことありますか?」

 

 

 

ハザードマップって、なあに?

 

 

メアリー「ハザードマップって、よく聞きますが、きちんと目を通したことがなくて…どこで見ることができるのでしょうか?」

 

 

三好「ハザードマップは、国土交通省が運用しているポータルサイトから見られます。」

 

 

メアリー「おお、この色分けされた地図ですね!私の自宅、津波警戒区域内・土砂災害警戒区域内です。」

 

 

 

 

(引用:ハザードマップポータルサイト 身のまわりの災害リスクを調べる

 

 

三好「そう、まずは、自分が一番長く過ごす場所を確認しましょう。自宅だけでなく、職場や学校も含めて。」

 

 

メアリー「今まで自宅が安全かどうか、しか考えていませんでした。職場にいる時間帯に災害が発生することもありますもんね。他に、注意しておくべき場所はありますか?」

 

 

三好「合わせて、家族や仕事の関係者など、自分に近しい人の居場所も確認しておいた方が良いですね。そして、それらの場所をつなぐ経路の確認も。災害が起きると、行き来ができなくなってしまうことも考えられます。」

 

 

メアリー「ハザードマップには、避難所の場所も載っていますね。」

 

 

三好「もちろん、避難所もチェックしておきましょう。自宅や職場よりも、避難所の方がリスクの高い場所に建っているというケースもあるんです。」

 

 

メアリー「避難所に行けば安全、というわけではないんですね…。」

 

 

三好「避難所までの経路に被害が出て、避難所へ行けないこともありえます。より安全な場所・ルートはどこなのかということを知るためにも、ハザードマップをしっかり見ておくことは大切ですね。一方で、避難所に行くことが必ずしも避難ではない場合もあります。特に鉄筋コンクリート造にお住まいの方や耐震化されている住宅にお住まいの方など、自宅避難も充分に想定する…ということも大事ですね。」

 

 

 

ポイント

自宅・職場・学校。家族や仕事の関係者などの居場所の確認も大事。

それらの場所をつなぐ経路のチェックも忘れずに!

 

 

 

情報を集めれば、もっと安心!

 

 

三好「メアリーさんは、防災に関するWebサイトなどは普段から見ていますか?」

 

 

メアリー「色々あるので、どれを活用したら良いのかわからないんです。」

 

 

三好「正確さでいえば、気象庁のサイトですね。最近では「NERV防災」など民間のスマートフォンアプリも有用で、こちらは情報の速さが強み。よりローカルな情報に絞って見たいなら、静岡県の防災アプリ。緊急情報の通知だけでなく、ハザードマップの確認、防災学習や避難トレーニングにも利用できるものです。」

 

 

 

 

 

メアリー「ふむふむ。静岡県は「わたしの避難計画」というサイトも公開しているんですね。住所を入力すれば、ハザードマップを元に、避難のタイミングや避難先を確認できるみたいです。」

 

 

 

(引用:わたしの避難計画

 

 

三好「ハザードマップだけでは、リスクの把握が十分とは言えないんです。ハザードマップは各市町村が作成しているので、地域によって整備状況がまちまち。例えば熱海市では、津波、土砂災害、火山のハザードマップはあるけれど、洪水のハザードマップはなかったり。」

 

 

メアリー「熱海、川があるのに洪水のハザードマップはないんですね。ハザードマップ以外で、災害リスクを知る方法は他に何があるんでしょうか。」

 

 

 

▲ ブーゲンビリアが美しく咲き誇る、糸川遊歩道

 

 

三好「地形や地盤から考える災害リスクについて、専門家の運営するサイトが役に立つかもしれません。また、地震の発生メカニズムなど最新の研究についても、普段から新聞やWebメディアを見る時に、アンテナを張っておくと良いですね。その土地の過去の災害履歴については、地域に長く住んでいる人から直接、お話を聞くしかないところもありますが。」

 

 

メアリー「不動産業者は入居者に、ハザードマップの説明をする義務があると聞きました。実際、どの程度まで災害リスクを説明してもらえるんですか?」

 

 

三好「防災について専門的な知識がある不動産業者は少なく、詳しい説明はされないのが実情です。マチモリ不動産では「家の外での過ごしやすさ」も踏まえて入居してもらうことが重要だと考えているので、物件案内の際に周辺環境を説明する一環で、リスクについても話すことはあるけれど。オンラインでの防災訓練とそのアーカイブ化、防災に焦点を当てたまちあるきイベントなども今後、やっていきたいですね。」

 

 

 

ポイント

防災アプリや防災に関する公式サイトをチェック・アンテナを張ることも大事!

 

 

 

さいごに

 

 

熱海の自然の豊かさが内包する、様々な自然災害のリスク。

 

ハザードマップの見方を知り、その他の情報源を知り、リスクを可視化することで対策も少しずつ、見えてくるような気がしました。まずはハザードマップを見ながら、自宅、職場、よく行くお店…様々なシチュエーションでのリスクを想像してみるところから。

 

そして、熱海だけでなく、家族や、友人の住む街のハザードマップも確認しておきたいな、と思いました。

 

 

 

 

備えあれば憂いなし。次回は、災害時の「3つの期間」を知り、どのように備えるのか?そもそも防災って何だろう?そんなところを掘り下げて伺っていきたいと思います。

 

 

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関連記事

 

第2回 備えあれば憂いなし。でも、なにを備えたらいいの?

 

 

その他 参考

 

◆ 熱海市ハザードマップ
ハザードマップ(防災ガイドブック)|熱海市公式ウェブサイト

 

◆ 地震の発生メカニズムの研究
最終講義「地震・噴火・温暖化は今後どうなるか?」