twitter instagram

DATE2023.06.01

この記事を書いた人

ひらい めぐみ

100年の歴史を刻む古民家から、熱海のまちを眺望する。一棟貸し古民家「Atami terrace villa」ができるまで。

 

熱海駅から、ぐんぐんと坂をのぼること10分。熱海の街並みが一望できる高台に、歴史を刻む平屋の古民家があります。この場所は住居としての役目を終え、ゲストハウス「Atami terrace villa」として生まれ変わりました。今回は、オーナーであるhanaさんへ、「Atami terrace villa」を立ち上げられるまでのお話と、この場所の魅力、宿泊の楽しみ方などについてお聞きしていきます。

 

 

縁側からの眺めの美しさにひとめぼれ

 

 

――hanaさんはさまざまなエリアで大家業をされているそうですが、熱海の物件探しや運営をしようと思ったのはどうしてでしょうか。

 

 

 

 

hanaさん:家業として不動産投資をしており、両親が海沿いの場所を探していたんですね。わたしは普段、神奈川に住んでいるのですが、数年前に熱海にも住まいを購入し、よく来ていたんです。それで、まちの良さを体感していたこともあり、熱海で物件探しを手伝うようになったのが最初でした。

 

 

――最初からゲストハウスを作られるご予定で、物件を探されていたんでしょうか。

 

 

hanaさん:そうですね。実は東京の浅草でも、築65〜70年くらいの古民家を改装してゲストハウスを運営しているんです。海外の方々に、古いものの趣ある佇まいと新しいものを融合させた場所の魅力を知っていただきたいな、と。そういった場所を熱海でもつくれないかと考えていた折に、マチモリ不動産の三好さんがこの物件を紹介してくださいました。

 

 

 

――この物件を初めて見たときは、どんな印象を持ちましたか?

 

 

 

 

 

hanaさん:この縁側からの眺望を見た瞬間「もう、ここだな」って心の中では即決でした。また、約100年という長寿の建造物でありながら、オーナーさんが綺麗に使われていらっしゃったおかげで、とてもいい状態だったんです。1世紀近くこの状態で残っていることってなかなかないので、中を見てびっくりしました。

 

 

 

 

 

 

hanaさん:建物の中の細部を見ていただくと、歴史を感じられる部材がそのまま残っていることに気づかれると思うのですが、当時に作られたものって、どれも今作ろうとしても作れないものばかりなんですよね。代々、ここへ住まれていた方々が大切にしてきたものを「いかに、現代の人たちにも馴染むように多く残すことができるか」がいちばんの課題ではありましたが、「これは残さないといけない」と強く感じたんです。今回は睦月建築工芸の太田さん、塚田さんに改装をお願いしたのですが、お二人の知恵とセンスのおかげで、できるだけ多くのものを残しつつ、もとの古き良き佇まいとモダンとの融合を実現させることができました。

 

 

 

源泉100%の温泉とサウナ付き。熱海の街並みを一望できるテラスからは、海上花火の鑑賞も

 

 

 

 

 

 

 

――駅から徒歩7分ほどの場所ですが、駅前の賑やかさとは打って変わり、ここにはゆったりとした時間が流れているような静けさがありますね。

 

 

hanaさん:そうなんです。国内外の方々にたのしんでいただきたいなと考えたときに、なるべく徒歩でたどりつける立地がよいなと思っていたので、駅近であることも、この場所をゲストハウスにできそうだなと感じた理由のひとつでした。

 

 

 

――「Atami terrace villa」では、どんなことがたのしめますか?

 

 

 

▲源泉100%の温泉で、日頃の疲れもふ〜っと癒されます

 

 

 

hanaさん:まず、源泉100%の温泉を引いているところですね。熱海で源泉100%の温泉が楽しめる場所って、意外と多くないんです。また、屋外にサウナルームと水風呂も併設しているので、お庭の自然を感じながら、リラックスいただけます。

 

 

 

 

▲サウナルームは、もともと倉庫として使われていた建物。新たに増設されたテラスで涼みながら、ぐいっと飲む一杯は、きっと最高です……!

 

 

 

 

hanaさん:自炊できるキッチンがあるため、屋外バーベキューもたのしめますよ。また、熱海では年に十数回も海上花火大会が開催されているんですが、このテラスからも天気がよければ、花火を眺めることもできるんです。

 

 

 

 

 

 

――テラスひとつとっても、いろんなたのしみ方が考えられそうですね!

 

 

hanaさん:そうですね。風が抜けるので、何もせずにぼーっと過ごすだけでも、すごく気持ちいいと思います。また、以前のオーナーさんが読書家でいらっしゃったようで、明治から大正時代の蔵書や新聞が多く残っていたんですね。その蔵書を閲覧できる古書バーを、キッチンに併設しています。

 

 

 

▲明治〜大正時代の貴重な蔵書がずらりと並んでいます

 

 

▲キッチンカウンター上部の壁紙は、なんと使われずに残っていたラグを再利用したものなのだそう

 

 

 

 

――もともとの建物の持っている良さの中に新しいものが自然と混ざり合っていますね。水回りなどはしっかりきれいになっていて、使い勝手もよさそうです。

 

 

 

hanaさん:宿泊される方に気持ちよく使っていただくために清潔感はマストだと考えているので、「古いものはできるだけそのまま」という前提のもと、特に水回りはガラッと改装しました。また、最大で六人まで泊まっていただけるので、グループで宿泊される場合も想定し、独立洗面台は二台用意しています。

 

 

 

 

▲複数人で泊まると、朝の準備の時間が重なってバタバタしてしまいがち。ふたつあればゆっくり身支度ができますね

 

 

 

熱海は、 “迷うことができる” まち。旅の中で、偶然の出会いや発見をたのしんでほしい

 

 

――hanaさんご自身は、ご旅行されますか?

 

 

hanaさん:私、旅行が大好きなんです。外に出ると、毎回発見があるんですよね。新しい人と出会ったり、素敵なお店を見つけたり。できることなら、毎週でも行きたいくらい(笑)。今はなんでもスマホで調べられる時代になりましたが、私がイギリスへ留学していた頃は、ガラケーが主流で。イギリスからヨーロッパを回ろうとしたときも、紙で調べるか、現地の駅の時刻表を見て確認して、「たぶんこれかな」って感じで移動してたんです。でも、そのアナログ感が逆にすごく面白かったな、と。人に聞いて教えてもらって、そこで出会った人と一緒に旅したりとかね。

 

 

 

 

hanaさん:もちろん、不確実性が高いから、ものすごく遠回りの道になっちゃったり、全然違うところに着いてしまったこともありました。でも、迷うことで、始まったり広がったりする。だから、あえて迷ってみたり、間違ってみたりするのが好きです。

 

 

――たしかに今では近所のお店へ行くにも、他の人の口コミを見たり、事前に調べたりすることができますもんね。

 

 

 

 

 

hanaさん:最近は少し事前に調べることもしますけどね。その点、熱海はいろんな路地があったり、ちっちゃなお店があったりして、迷うのがたのしいまちだなと思うんです。観光地として栄えてきた土地で、まちの皆さんも旅行者の方が普段からいらっしゃることに慣れているので、迷ってもきっと助けてくれる方が多いはず。むしろ、まちの人に直接おすすめの場所を聞いてみたり。熱海への旅行は、ぜひまちを探検する気持ちで、直感で歩いてみてほしいです。

 

 

 

 

 

――たしかに、迷えば迷うほど魅力を発見できるまちかもしれないですね。

 

 

hanaさん:熱海は箱庭のような、コンパクトなまちだけれど、その中にディープな世界や、自然、人が集う場所など、さまざまな顔を持っているなと感じます。山に囲まれてる中で、ここまで発展している街って、日本全国を見渡してみても、なかなかないんですよ。東京からのアクセスもいいですし。きっと、これからますます発展していくまちだと思います。

 

 

 

――hanaさんのおすすめのお店があれば、ぜひ教えてください。

 

hanaさん:私は辛い食べものがすごく好きで、「新広楼」っていう四川料理のお店には、熱海へ来ると必ずと言っていいほど行っています。何を食べても美味しいのですが、黒胡麻坦々麺が特におすすめです。あとは糸川沿いのギャラリー「熱海分福」さんも、とってもいい場所でした。テイクアウトドリンクのメニューも豊富です。一番通っているのは熱海銀座商店街にある「caffè bar QUARTO」さん。チョコラータが、甘すぎず濃厚で大好きです。また、このゲストハウスの近くに飲食のお店ができるようなので、オープンされたらそちらへの送迎もオプションとしてご案内できるようにする予定です。

 

 

 

 

 

――最後に、こちらへ泊まる方に向けて一言いただけますでしょうか。

 

hanaさん:「Atami terrace villa」には、ぜひ一泊ではなく、できれば二、三泊滞在していただくことをおすすめしたいです。一泊でも良さは感じていただけるはずですが、 ゆっくりした空気を楽しみながら、旅もしつつ仕事もしつつ、というのが、いちばんこの場所を好きになっていただける過ごし方かなと感じているので。近年では、ここまで綺麗な状態で残っている古民家自体、少なくなってきています。海外の方はもちろん、国内の方も含めて、100年の歴史を体感できるこの場所を、ゆったりとあじわっていただけたらうれしいです。

 

 

 

 

「Atami terrace villa」のご予約方法や空き状況は、以下のサイトよりご確認いただけます。

 

Airbnb

 

Atami terrace villa

公式Instagram:https://www.instagram.com/atamiterrace/

住所:〒413-0006 静岡県熱海市桃山町12-3

アクセス:熱海駅から徒歩10分