twitter instagram

DATE2022.12.11

この記事を書いた人

メアリー

暮らしのコラム|前半:羽休めの場所を求めて飛び込んだ街と、様々な出会い

はじめましてメアリーです。

 

普段は金融系の会社に勤めているのですが、「このまま普通の会社員を続ける以外に、自分の生きる場所はないものだろうか?」

 

少し、立ち止まって考えてみたくなり、熱海で休もうということを決めました。

 

 

そして、2022年の7月から9月、私は4年間働いた東京の会社を休職し、暑い夏の3カ月間、商店街のゲストハウスで働きながら、熱海で暮らしていました。

 

 

この文章を書いている時点では、私は東京に戻り、元の仕事を再開しているのですが、熱海には月に数回訪れています。



『熱海で暮らした日々の肌感覚を、忘れたくないのかもしれない。』

 

こうも忘れがたい熱海での生活とは、どのようなものであったか。この場を借りて振り返らせてください。

 

 

取りとめもない思い出話ですが、これを読んで「自分が求めるものも、熱海にあるかもしれない」と感じてくださる人が少しでもいれば、幸いです。

 

 

 

***

 

 

 

憧れの、海を臨む暮らし

 

私の住まいは来宮駅からほど近い、水口町のマンションの一室。


洗濯物を干しにベランダへ出ると、初島の浮かぶ海がよく見える部屋。

 

夏の間ほとんど毎週のように開催されていた花火大会の夜には、部屋から花火を眺めることもできました。

 

 

     

 

 

12時と16時半を知らせるチャイムに加えて時々、汽笛が聞こえて、最初は物珍しかったそれらもすぐ、耳に馴染んだ音になっていきました。

 

海の街に住むのは、内陸で生まれ育った自分にとって、幼い頃からの夢だったのです。

 

 

 

思いのほか、何でもある熱海

 

水口町は家々が並ぶ閑静な地区。海を囲む山肌に貼りつくような、坂の多い熱海の、「坂の上のほう」に位置しています。

 

飲食店などは海の近く、坂の下のほうに集まっているので、私は毎日、朝には坂を下っていき、夜寝るまでのほとんどの時間を、海辺で過ごしました。

 

 

 

 

熱海には、飲食店が多い。

 

観光客に向けて目立っているのは海鮮丼のお店ですが、和食も洋食も中華料理も、何でも食べられるのが熱海の良さ。

 

文豪にゆかりのある名店、地元で長年愛される店、ここ数年で新たにこの地に根付いた店…。

 

数日の旅行では到底巡りきれない数で、3カ月暮らしていると、それなりに知見も広がって、中でもお気に入りのお店がいくつかできました。

 

 

私は外食する場所の開拓に力を注いでいたのですが、熱海には個人商店も多く、毎週土曜日には浜町で野菜や果物の市場が立ち並びます。

 

食材を買って自炊するにも楽しい街なのは間違いない。

 

 

 

 

また、コーヒー・ブレイクを愛する私にとって、熱海の街は非常に居心地が良いものでした。

 

純喫茶あり、焙煎所を持つカフェあり、イタリアンバルあり。

 

その日の気分に合わせて選べる程度に、コーヒーを飲める店が沢山あります。

 

 

観光客の行き交う銀座通り、「caffè bar QUARTO」のカウンター席には朝から夕方まで、地元の人たちが代わる代わる訪れる。

 

この店には、コーヒーは勿論のこと、店主や他のお客さんとの会話を楽しみたくて行くようなところがある、と私は感じました。

 

二十数年生きて学ぶ機会のなかった、エスプレッソの飲み方を教えてもらったのがcaffè bar QUARTOでした。

 

 

 

 

一人でゆったりとコーヒーを味わいたい時は清水町、静かな路地に佇む自家焙煎珈琲の店「茶々」へ。

 

焙煎機が動いている時は、ほろ苦く重量を感じる豆の香りに全身を浸すことができる。

 

ここはコーヒーだけでなく、ケーキやプリンも美味なのです。

 

 

 

 

洋菓子の老舗「モンブラン」でも、店内でケーキと一緒にコーヒーをいただける。

 

モンブランのケーキはどれも美味しいのですが、私は結局、レモンパイに戻ってしまいます。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

東京と比べて遮るものも少なく、まっすぐな陽射しに縁どられる夏の熱海の街。

 

時に観光客の賑わいに揉まれ、時にそれを逃れて路地裏へ、歩き疲れたらコーヒーで休憩。

 

そうしているうちに陽もかげり、通りの人影もやがて波が引くように少なくなっていく。

 

けれど、熱海に暮らして私は知ったのです。

 


熱海を忘れがたい街にさせる時間はここからまだ、続いていくということを。

 

 

 

後半へ。