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DATE2025.05.28

この記事を書いた人

メアリー

ビル一棟丸ごと。物件の個性を活かし、エリアの可能性を引き出す、リノベーションのかたち

 

古い建物が数多く残り、趣ある街並みを形作っている熱海。

 

マチモリ不動産では古い物件をお預かりする際、現代のライフスタイルに合わせて改修する「リノベーション」という方法も、併せてご提案しています。

 

不具合のある箇所を直すだけではなく、修繕によって物件の価値そのものを再生させることが、リノベーションの真髄。

 

今回は、マチモリ不動産が行なっているリノベーションや、その仕組みについて、具体的な事例を交えつつご紹介します。

 

 

熱海の街なか、店舗・マンスリー・事務所の複合ビル

 

 

メアリー先日の記事では、マチモリ不動産でマンションの一室をリノベーションした事例を取り上げました。今回、マチモリ不動産代表・三好さんに、他の事例についても伺っていきたいと思います。」

 

 三好「今回は、ビル一棟 丸ごとリノベーション、というケースをご紹介します。こちらの建物をご覧ください。」

 

 

 

▲ 築年:築41年 / RC造 / 地上4階地下1階建て 

 

 

メアリー「あ、ここは!商店街ちかくの角地に建っているビルですよね!こちらのお店で何度か食事をしたことがあります。マチモリ不動産が携わっているんですか?」

 

三好「はい、そうなんです。観光のメインストリート・熱海銀座商店街から1本隣に入った通り、『浜町』と呼ばれるエリアの角地に建つビルです。現在は1、2階が飲食店、3、4階と地下はマンスリー利用や事務所として使用されています。」

 

メアリー「1階だけではなく、全てのフロアが活用されているんですね!」

 

 

 

▲ リノベーションされた2階のレストラン

 

 

▲ リノベーション前の2階の様子

 

 

リノベーションのテーマは「大家さんの課題解決」

 

 

メアリー「どのような経緯でリノベーションを行うことになったんですか?」

 

三好「こちらはもともと、お蕎麦屋さんの建物だったんです。当時は1階が店舗、2階が宴会場、地下が作業場。3、4階はお蕎麦屋さんご家族の居住スペースでした。」

 

メアリー「ビルの壁面の『やぶ繁』は、お蕎麦屋さんの頃の看板なんですよね。」

 

三好「はい。数年前にお店は閉業、ご家族もお引っ越しされました。その後空き物件となっていたところ、現在の大家さんからお話をいただき、マチモリ不動産がマスターリースで借りたうえで、サブリースを行うことになったんです。」

 

 

 

▲ 数年間空き家だったころの様子

 

 

 

用語の解説

マスターリース契約(原貸借契約)とは?

 

オーナーとサブリース会社との間で結ばれる契約で、物件の管理や入居者募集などの運営全般をサブリース会社に委託するもの。

 

サブリース契約(転貸借契約)とは?

 

オーナーが所有する物件を、第三者に貸し出す契約で、サブリース会社と第三者(入居者)が契約を結ぶもの。

 

 

 

メアリー「なるほど、ここはリノベーションだけではなく、テナントとの契約もマチモリ不動産が行っているんですね。ビル一棟丸ごと、リノベだけでなく管理もというのは、マチモリ不動産にとって大きな挑戦だったのでは?」

 

三好「そうですね。熱海でよくあるのが、1階の借り手がついたことで、上層階が活用しづらくなるというパターン。というのも、このビルのように出入り口が1階の1箇所しかないという造りが結構多いんです。」

 

 

 

 

メアリー「2階以上へ出入りするのにも、1階のテナントの中を通る必要あり。上の階を借りづらいというのも想像できます。」

 

三好「なので、初めからビルを丸ごと活かす想定で、リノベーションを行いました。物件の構造上の特性を踏まえ、全てのフロアを有効活用できるように。これは一棟マチモリ不動産に任せていただけたからこそ、実現できたことですね。」

 

メアリー「一棟丸ごとリノベーションとなると、工事のコストも高くなりそうですが……費用面のお話も聞かせていただけますか?」

 

三好「リフォームにかかる費用は、住居利用の場合は大家さん、商業利用の場合はテナントで負担するのが通例ですが、今回は外装と埋設管の工事のみ大家さんの負担、その他はマチモリ不動産が全額投資しました。」

 

メアリー「投資の分は、どのように回収していくのでしょうか?」

 

三好「賃料を最初は低く、数年ごとに段階的に値上げし、投資回収しながら大家さんに収益が出るように、契約に盛り込みました。このビルに限らず、どの大家さんでも応用できるような、十分に収益性のあるスキームです。私は、不動産賃貸業が大家さんの自己犠牲で成り立つものであってはならないと考えています。」

 

 

リノベーションで、熱海の賃貸物件の課題にもアプローチ

 

 

メアリー「このビルは1階部分に、飲食店が2軒入っているのも特色ですね。」

 

三好「ええ。熱海で挑戦したい、と考えている個人の方にお店を始めてもらいたかったんです。ここ数年で銀座商店街周辺の地価は上昇し続けていて、個人の新規店の参入が難しい環境になってしまいましたが、複数のテナントで1つのフロアを共有すれば、各テナントへの賃料を抑えることができます。他にも、日中はお惣菜屋さん、夜はバー、といったように時間帯ごとに異なるテナントへ貸し出すというのも当初は想定していました。」

 

メアリー「3階と4階のマンスリーの部分は、水回りが共用のシェアハウスなんですね。」

 

 

 

 

三好「民泊のように中期滞在ができる物件として、宿泊業の許可も取っています。熱海に、若年層の中期滞在者向けの物件がないというのは、前から気になっていたんです。熱海に移住するわけではないけれど旅行でもなく、数ヶ月滞在したい、そういった方たち。」

 

メアリー「マンスリーマンションでは割高で、ゲストハウスではプライベートの空間が持てない。リモートワーク、ワーケーションという概念も一般的になった今、費用を抑えつつ快適に滞在できる場所の需要はあるでしょうね。」

 

三好「先ほどの地価の上昇の話に繋がりますが、熱海の街なかでは賃貸住宅の家賃も値上がりしています。綺麗にリノベーションされているけれどお手頃家賃のシェアハウスは、熱海でサービス業などに従事する若年層にも求められていたんです。」

 

 

リノベーションが物件を活かし、エリアを活かす

 

 

メアリー「ビルを運営するにあたって、他に意識したことはありますか?」

 

三好「これまでの熱海は、駅から銀座商店街、海へと続くルートは賑わっているものの、一本隣の浜町には昼間でも人通りが少なく……。線から面へ、人の行き交うエリアを広げる必要性を感じていました。そんな状況で、大家さんから『今までにない使い方を、地域、熱海の発展につながることをしてほしい』と任せていただいたこのビル。エリアの活性化、という点はずっと意識していました。」

 

メアリー「銀座商店街から浜町へ抜けたその先には、心地よい糸川沿いの遊歩道、魅力的なバーやスナックの並ぶ中央町が続いているのに、人の流れが銀座で止まってしまうのはもったいないですよね。」

 

三好「1階は、スタンド形式のスパークリングワインバー『awasuki』さんに入っていただことによって、日中から浜町に人が集うように。ストリートが一気に明るい雰囲気になりました。今までになかった街のシーンが生まれていると感じます。熱海桜のシーズンもとても賑わっていました。」

 

 

 

 

メアリー「私、熱海の街に住む醍醐味って、徒歩圏内に飲食店やコワーキングスペース、銭湯があって、街全体を自分の家のように使えるところだと思っていて。上層階に滞在場所を作り、街の中で暮らす人を増やしたという点でも、このビルは街に活気を生んでいる気がします。」

 

三好「エリアの発展を考えた時に、ローカルスタートアップの支援もしたかったんです。熱海では新しい産業、起業も増えていて、naedocoのようなシェアオフィスがある一方、広くなくとも手頃な家賃で、街なかに独立した事務所を構えたいという人もいる。ビルの一部を事務所として貸し出しているのはそういった理由です。」

 

 

 

 

メアリー「熱海市に拠点を置く法人が増えれば、熱海市の税収がアップする……なんと、リノベーションは街全体の利益にも繋がっていくのでは!」

 

 

3つの視点を備えて、まちづくり

 

 

メアリー「お話を伺っていて、マチモリ不動産はただ建物を修繕し、物件を貸し出すのではなく、その先の収益性や、エリアへの影響まで見据えてリノベーションに取り組んでいることがわかりました。」

 

三好「マチモリ不動産でリノベーションをする場合は、自動火災報知設備の設置など、消防法への対応も行います。これも物件を維持していく上では必要なこと。不動産管理会社としてのノウハウが活きるところです。」

 

メアリー「法令遵守のためのコンサルティングの役割も果たしているんですね。」

 

三好リノベーション、不動産仲介、不動産管理。近年の不動産業界が蛸壺化の傾向にある中で、これらの3つの視点を備え、一貫して考えられるところが、私たちマチモリ不動産の強みとも言えますね。」

 

メアリー「古い建物を、現代のニーズに合わせて修繕するリノベーション。エリアの魅力を高めるようなテナントと結び付ける、不動産仲介。物件のメンテナンスやアップデートを行いながら、収益性を高めていく不動産管理……物件の価値を再生させ、向上させていくためには、どれも欠かせない視点ですね。」

 

 

 

***

 

 

お店は変わっても、お蕎麦屋さん時代の看板がそのまま、目印として残されたビル。

 

建物の歴史を受け継ぎながら、時代の変化、街の課題に合わせ、今の人々に求められるかたちで、物件を活かしていく。

 

マチモリ不動産では、このようなリノベーションのかたちに共感してくださる大家さん・投資家の方と一緒に、空き家を活用して住まい手を増やす取り組みを引き続き行なっていきたいと考えています。

 

空き物件についてお困りの方は、ぜひご相談ください。