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メアリー
後編:熱海から広がる世界。海外生活であらためて感じた暮らしの可能性
こんにちは、メアリーです。
2025年の3月より、思い立ってしばらくニュージーランドで生活をしています。
今回は、海外生活の中で改めて気付いた日本の家や暮らしの良いところ、そして、もっとこういうふうに発展していくとおもしろいだろうな、と感じたことなど…。
ニュージーランドの中でも都市によって住宅事情、生活様式が異なる部分はあるかと思いますので、あくまで私個人の経験に基づく感想として、楽しんでいただけると幸いです。
前編では「フラット」という住まいのかたちについて、ご紹介しました。後編となるこちらでは、日本とニュージーランドでの生活の違いにも触れていきたいと思います。
後編: 自分にとって心地よい暮らしとは? 〜「いろんなところに住んでみる」のすすめ〜
恋しきもの、お風呂と温泉
フラットでの生活に大きな不便は感じなかったのですが、一点、いつまで経っても慣れないのが、お風呂。
ニュージーランドは、シャワールームのみの物件が多めです。そしてバスタブのある家でも、基本的にお湯を貯めることはしません。こちらの家庭はほぼオール電化なのですが電気代を抑えるため、(家ごとのルールによりますが)お湯をたくさん使う行動が推奨されないのです。
日本でほぼ毎日湯船に浸かっていた私には、これが辛かった……。
ニュージーランドはこれを執筆している8月現在、冬の真っ只中。日本とは季節が逆です。「1日の中に四季がある」と言われるほど、日中と夜間の温度差が大きいのもこちらの気候の特徴。気温がぐんと下がる冬の夜、湯船で暖まれないとなると、より寒さが厳しく感じられます。
調べてみるとニュージーランドに限らず湯船に浸かる文化は世界的に見ても少なく、日本が特殊なようです。市民浴場や日帰り温泉を利用でき、さらには自宅に温泉が引かれている物件もある熱海、お風呂好きにとっては天国のような環境だと改めて感じました。
恋しきもの、生魚
どちらかというとお茶よりもコーヒー文化のニュージーランド。街のあちこちにコーヒーを楽しめるカフェがあります。
▲日本の喫茶店のコーヒーといえばフィルタードリップやサイフォン抽出のイメージだが、ニュージーランドのカフェでは、エスプレッソを使ったコーヒーが主流。こちらはニュージーランドが発祥とされる、エスプレッソにスチームミルクを注いだ「フラットホワイト」。
カフェは7時前後にオープンし、15時頃にはクローズするお店がほとんど。朝早く、夜も早いのがニュージーランドの生活リズムのようです。
また夜に関して、ニュージーランドの治安は体感として相当良いのですが、日本では文化として確立されている感のある女性のひとり飲みは一般的ではないようです。中央町の小さなバーやスナックではしご酒……そんな熱海の夜がしみじみと、懐かしく思い出されます。
ニュージーランドの国民食と言われているのは、フィッシュ&チップス、パイ、そしてラム肉。そして移民の多い国ゆえでしょうか、日本でもお馴染みの中華料理や韓国料理、インドカレーに留まらず、世界各国の料理を味わうことができます。
▲個人的なお気に入りはギリシャのファストフード「スブラキ」。焼いた肉を野菜と一緒に薄いパンに挟んだもので、トルコのケバブにも似ているがヨーグルトソースでよりさっぱりとした味わい。日本でも流行って欲しい!
▲ヴィーガン・ベジタリアン向けの料理が充実しているのも興味深い点。これはウコンで色を付けて卵に似せた「スクランブル豆腐」。
例に漏れず、日本食レストランや寿司のテイクアウトショップもよく見かけます。ただ、これらは経営者が日本人でない場合も多く、伝統的な和食を期待すると面食らってしまうことも。
▲寿司には醤油ではなくマヨネーズ、テリヤキソースが使われがち。具材も魚といえばサーモンくらいで、他にはアボカドやエビ、チキンなどが入る。巻き寿司に衣をつけて揚げたものもある。
「”日本の寿司”がないなら、自分で作れば良いじゃない」そう考えたものの、スーパーや魚屋さんでは生食用の魚が売られていません……。
▲日本の魚料理が懐かしくなり、カワハギ(英語ではLeatherjacketと呼ばれる)を干物に。一夜干しはどこでもすぐに作れるのが素晴らしい。
恋しきもの、コンパクトな街
ニュージーランドの国土面積は日本の3/4だそうです。しかし滞在していると、ニュージーランドの方が広い国に見えるから不思議です。家も、道も、空も、全てが広い。これは、人口密度の差によるものでしょう。
▲街なかを少し離れると果てしなくこのような風景が続きます。人口より羊の数が多いというのは伊達じゃない。
自分の性に合った場所とは
数ヶ月ニュージーランドで過ごして気付いたのは、自分はけっこう日本の暮らしが好きだったんだな、ということ。
あらゆる生活や文化に、優劣はつけられないものだと思っています。日本で生まれ育ったけれど、日本ではない国の空気がぴったりと合う、という人もいるはず。
一方で私は、日本のある意味では雑然とした、コンパクトな街で生きるのが楽しい。魅力的な飲食店やショップがぎゅっと集まっていて、徒歩圏内で、街全体で自分の生活を形作ることのできる場所が好き。それこそマチモリ不動産が掲げているような、街をひとつの大きな家と捉える「街ごと居住」は私の性に合っていたようです。
もちろん、ニュージーランドのワークライフバランスを重視する社会や、にこやかで話好きな人たち…素敵だな、日本もこうなると良いのに、と感じた点もたくさんあります。
特に印象的だったのは、図書館が市民の憩いの場として機能していたところです。勉強、PC作業ができるだけでなく、チェスやジグソーパズル、TVゲームで遊べるスペースまで設けられている図書館も。さらには英会話、編み物、ZINEの製作など、無料で参加できるクラブが毎週開催されていました。
前編では、フラットで暮らすという「ゆるい繋がり」について書きました。誰でも気軽に出入りできるこうした集まりもまた、程よい距離で人と関われる「ゆるい繋がり」なのかもしれません。ニュージーランドの様々な「ゆるさ」、参考にするべきところは多い気がします。
いろんな環境で暮らしてみる。その経験は自身の視野を広げてくれるだけでなく、自分にとって何が本当に心地よい暮らしなのか、気付かせてくれるものだと思っています。
私にとって東京から熱海に引っ越してみたのも、熱海から離れてニュージーランドに来てみたのも、実り多い経験でした。
二拠点、他拠点、アドレスホッパー、そんな多様なライフスタイルが可能になりつつある時代。自分にとって本当に心地よい暮らしを見つけるために、まずは日本国内で、短期でも、いろんなところに住んでみる。そんな選択が、より身近になると良いなと思います。
私の場合、街のなかで暮らせて自然の恵みも多い熱海は、そうして見つけた心地よい場所のひとつ。
とりあえず日本に帰ったら熱海に寄って、温泉に入って、新鮮な魚が食べたいなあ。








