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メアリー
前編:観光地・熱海ではじめる民泊。物件を活かす、新しい宿泊の形
豊かな海、山、そして温泉。都心から近く風光明媚な観光地として、一年を通して旅行客で賑わう熱海。
老舗の旅館にホテル、ゲストハウスなど多様な宿泊施設を擁するこの街では近年、増加する国内外からの旅行者への対応、また空き家の有効活用といった観点から、「民泊」という形の宿泊ビジネスも徐々に広がりを見せています。
これから熱海で物件を活用したい、何か新しいことを始めてみたい。その中で、民泊という選択肢に関心を持っている方も多いはず。
民泊利用を想定した物件の仲介や、民泊の運営にも取り組むマチモリ不動産。代表の三好が、民泊を始める前に知っておきたい「基本のき」についてお話しします。内容は前編・後編の2回に分けてお届けします。
前編では、熱海で運営されている民泊の事例にも触れながら、「そもそも民泊ってなに?」という疑問に答えていきます。
前編:最近話題の「民泊」って、どんなもの?
民泊とホテル、どう違う?
メアリー「最近、ニュースやソーシャルメディアで『民泊』の話題をよく見る気がします。私自身、国内旅行で民泊を利用した経験はあるんですが、そもそもホテルや旅館とどう違うのか、実はよくわかっていなくて。」
三好「住宅の全部、または一部を使って旅行者に宿泊サービスを提供すること、一般的にこれを『民泊』と呼んでいます。そのうち住宅宿泊事業法、いわゆる『民泊新法』に基づく民泊は、住宅として使われている場所を最大180日で宿泊事業に使えるというもの。民泊を行う場合には、住宅宿泊事業法の届出、もしくは旅館業法の許可が必要になります。」
メアリー「そもそもは住宅、というところがホテルや旅館との違いなんですね。『民泊新法』では営業日数の制限があるとのことですが、それなら旅館業法の許可を取ったほうが良いような……。」
三好「旅館業法のほうが制限の厳しい部分もあって、たとえば住居専用と定められている地域では営業ができないという立地の制限。住宅宿泊事業として民泊を行う場合は、それらの地域でも営業が可能です。その上で、各自治体では条例によって民泊の区域、期間に制限を設けています。」
メアリー「なるほど。物件の所在地などの条件を踏まえて、住宅宿泊事業法と旅館業法、どちらの制度を使うか考える必要があるというわけですね。」
マンスリー物件は1ヶ月以上継続して利用されるため、賃貸借契約として扱われます。
一方で、利用が1ヶ月未満のウィークリーマンション等については、旅館業もしくは住宅宿泊事業として行う必要があります。
民泊を始める前に、確認しておきたい6つのポイント
三好「民泊を始めようとするとき、まず確認する必要があるのはその物件の用途地域、つまり民泊を営業できるエリアにあるかどうか。次に、賃貸物件であればオーナー、分譲マンションなら管理組合が、民泊利用を許可しているかどうか。賃貸の場合は、契約者(借主)だけでは判断できず、オーナーの同意が必要となります。分譲マンションの場合は、管理規約・管理組合の承認が必要。この確認を怠ると、契約違反や近隣トラブルに発展するおそれがあるので、民泊を始める前には、必ずその建物が民泊利用を認めているかを確認しましょう。」
メアリー「確かに。トラブルに発展したら大変ですし、契約を守った上で気持ちよく運営したいですよね。マチモリ不動産のホームページでも、民泊利用可と紹介されている物件がいくつかありますよね。賃貸物件で民泊OKのところも最近は増えてきた印象です。」
三好「民泊利用可とすれば、それだけ借り手の幅も広がりますからね。さて、確認しておくべきことの3つ目は、建築基準法、消防法など建物の法令遵守の状況。収益が上がるかどうかを考えるのは、その次。そして、誰が民泊を運営するのかということ。日本にAirbnb*が導入された当初は、オーナー自身が住んでいる物件の一部を貸す『家主滞在型』が主流でしたが、清掃業務や運営そのものを業務委託するケースや一棟貸しのような『家主不在型』も広まっています。」
*宿泊施設を提供するホストと、それらを予約したいゲストを繋ぐオンラインプラットフォーム
メアリー「実際に熱海で成功している民泊は、どのように運営されているのでしょうか?」
三好「一つ目は家主滞在型。事業というより、オーナーさん自身が宿泊者との交流を趣味として楽しみながら、収益も上げているというケースです。二つ目は、家主不在型で一部屋単位で貸し出しているもの。ビジネスホテルと比べても安価で気軽に泊まれる場所としての需要があります。三つ目は家主不在型の一棟貸し。今、一番上手くいっているのはこのパターンかもしれません。学生や会社のチーム、複数の家族で一緒に旅行をする場合はホテルより一人あたり割安で済む上、庭でバーベキューなども楽しめるので人気です。最近は「貸別荘」と呼ばれるような高級路線も増えていますね。」
メアリー「花火大会の日や夏の期間の熱海はホテルの予約も取りづらいですし、宿泊先の選択肢として民泊の需要はますます高まっていきそうですね。」
民泊を始める前に、まずは相談してみよう
メアリー「民泊を始める前の確認ポイント6つ、用途地域だったり収益性だったり、個人で調べるのは大変かも……。不動産業者に相談すれば、サポートしてもらえるのでしょうか?」
三好「そうですね、不動産業者の中でも、民泊の仲介・管理の実績があるところに相談するのをオススメします。たとえば賃貸の場合、民泊は事業用物件に該当するのでリフォーム代は原則として借主の負担となりますが、民泊の扱いに慣れていない業者を介するとリフォームによる造作物の所有権、原状回復等について整理ができず、後々トラブルの元になるということも。そうしたリスクを避けるために、相談された時点で民泊利用を止めたがる可能性も高いです。」
メアリー「民泊に精通した、信頼できる不動産業者を見極めるのが重要ということですね。」
後編では、民泊を始める時に必要となる費用、トラブルへの備えなど、民泊運営の具体的なノウハウについて伺っていきます。





