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DATE2026.05.26

この記事を書いた人

メアリー

「伊豆」のはじまりの場所、伊豆山エリアを歩く。

 

 

熱海駅からバスで10分ほど。熱海の市街地から徒歩でも訪れることができる「伊豆山」は、日々旅行客で賑わう街なかの雰囲気からは一転、のんびりとした時間の流れが感じられる場所です。

 

今回は、伊豆山神社、そして周辺のグルメや観光まで、散策も楽しい伊豆山エリアの魅力をご紹介します。

 

 

 

 

熱海を代表する古社のひとつ、伊豆山神社。

 

はじまりは遥か古墳時代にまで遡るとされています。平安時代後期には山岳信仰の場として名を馳せ、また源頼朝がその妻・北条政子とこの地で愛を育み、後に頼朝は鎌倉幕府を樹立しました。以降、江戸時代に至るまで武家の崇敬を集め、強運守護、福徳和合、縁結びの神様として今に伝わっています。

 

伊豆山神社の本殿までの参道は、合計837段という長い階段になっています。

 

1段目のスタート地点はここ、「走り湯」。

 

湧き出す湯が病を治し長寿に効果があると、古くから神格化され信仰の対象になっていました。「伊豆」という地名は「湯出づる神」に由来するとも言われています。

 

 

 

 

今から約1300年前に発見されたという、日本でも珍しい横穴式源泉。山中から湧き出した湯が海岸に飛ぶように走り落ちる様から「走り湯」と名付けられたそう。

 

 

 

 

階段を上り始めたら、まずは国道135号線を目指します。

 

途中に現れる、無数の配管が這い、絡み合う塀。いつも足を止めてしまう、個人的に好きなポイントです。

 

 

 

 

国道135号線の向こう、「伊豆山神社参道」の標柱が立っています。

 

進捗は220/837段。息は上がりますが、まだまだ序盤。

 

 

 

 

振り返れば、真っ青な相模湾。眺めに励まされながら、一歩一歩、階段を上がっていきます。道中に座って休憩できる場所がいくつか用意されているので、無理せず自分のペースで進んでいきましょう。

 

 

 

 

石の鳥居が見えました。648/837段まで来て、ようやく終わりが見えてきました。

 

熱海駅からのバスがこの鳥居前に停まるので、体力を温存して参拝するならここから上り始めるのもあり。

 

 

 

 

ここからの階段の脇には伊豆山の人々の守護神・祖霊社、足腰を強くしてくれる神様として信仰される足立権現社、縁結びを叶える結命神社という3つの末社が鎮座しています。

 

 

 

 

ようやく、837段を上りきり、本殿へ到着です!

 

手水舎に施されているのは2匹の龍。古くからの言い伝えによると、伊豆山の地下には赤と白の龍がおり、温泉の湧く所はこの龍の両眼と耳、鼻穴、口。赤龍は火、白龍は水の力を司り、二つの龍の力が合わさって温泉が生み出されているというのです。

 

 

 

 

先述の通り源頼朝、北条政子と繋がりの深い伊豆山神社。本殿の前には二人が愛を語り合ったという腰掛け石が残ります。

 

また、御神木である梛の葉が容易には裂けないことから、頼朝との縁を願って政子がその葉を手鏡の下に敷いていたという逸話も。頼朝と政子にあやかり、伊豆山神社は縁結びのパワースポットとしても知られています。

 

 

 

 

本殿に施された彫刻の一部は、「波を彫ったら日本一」と称された江戸時代の宮彫師、武志伊八郎信由の作とされています。鮮やかな極彩色、今にも動き出しそうな躍動感の龍に波、来るたびに見惚れてしまう箇所です。

 

 

 

 

本殿の隣に佇むのは「伊豆山郷土資料館」。

 

 

 

 

神仏習合の時代には伊豆大権現、走湯大権現などと称されていた伊豆山神社。その歴史を今に伝える仏像や経筒(お経を入れて埋めるタイムカプセルのようなもの)、北条政子が源頼朝を弔うため自分の髪を使って刺繍したと伝わる法華曼荼羅など、貴重な品々を間近で眺めることができます。

 

 

 

 

 

▲ 明治時代に神道と仏教が分離されるまで掲げられていたという「扁額」。漢字の中に、八咫烏、剣、波、人、ハト、ヤモリ、ヘビの形が隠れている

 

 

さて、伊豆山神社には、先ほどの本殿の奥に、更に「本宮」があるのをご存知でしょうか。この本宮こそが、本来の伊豆山神社の場所。本殿から本宮までは、およそ1時間程度の登り道です。

 

 

 

 

本宮へと続く道はかつて、山中で厳しい修行を行う修験道の修行場でもあったそう。やや登りが急な場所もあるので、足元に気をつけつつ進みます。アウトドア用の靴があると安心ですね。

 

天気の良い日は木もれ日がまぶしく爽やかなハイキングコースですが、訪問時点では倒木の影響で途中の「白山神社」より上の道が封鎖されており、本宮まで登ることができず……また改めてチャレンジしたいです。

 

 

 

 

▲ 本宮を越えて、十国峠まで抜けるトレイルランのルート

 

 

本殿までの参道の上りだけでも、けっこうな運動になります。運動をするとお腹が空くもの。ここからはグルメのご紹介です。伊豆山神社周辺には、美味しいお店がぎゅっと集まっています。

 

まずは本殿から石の鳥居まで戻り、目の前の市道沿い。オレンジのひさしが目印の「下総屋精肉店」。

 

 

 

 

コロッケなど揚げ物、自家製の焼豚といったお惣菜も購入できます。昔ながらのお肉屋さんのフライって、お家で作るのともレストランで食べるのとも違う、独特の引力を持っている気がします。

 

 

 

 

続いては、下総屋精肉店の並びにある「魚久」。

 

 

 

 

店内には新鮮な地魚だけでなく干物や、魚を使ったお惣菜が種類豊富に並んでいます。どれも美味しく、そしてリーズナブル。

 

 

 

 

 

 

更に参道を下り、国道135号線に戻ります。国道を挟んで参道の正面にある浜会館ビルの2階、ここは「あいぞめ珈琲店」。

 

高齢人口の多い伊豆山で階段の上り下りが難しい方にも訪れてもらいたいとの思いから、椅子式の昇降機も設置されています。

 

 

 

 

お店に入ると、大きなガラス窓から真正面に海、目に飛び込んでくる絶景……!

 

 

 

 

2021年7月に発生した伊豆山土石流災害の後、地区の再生を目指して生まれた、あいぞめ珈琲店。

 

今年の7月から、ピアノの生演奏も楽しめるカフェとしてリニューアルオープンされました。メニューの中の「ミュージック珈琲」を注文すると、好きな曲を1つリクエストもできるそうです。

 

 

 

 

内装やカトラリーが可愛らしく、窓の外の景色だけでなく、店内の空間にも癒されます。

 

 

 

▲ チャイ風味のチョコチップアイスクリームが浮かんだコーヒーフロート

 

 

 

▲ 米粉で作ったホワイトソースのチキンドリア。軽食、デザートのメニューは季節ごとの入れ替わりも楽しめる

 

 

 

熱海でも数少なくなった現役の市民浴場のひとつが、伊豆山の「浜浴場」。あいぞめ珈琲店と同じ浜会館ビルの中にあります。

 

走り湯からの源泉に加水したお湯はほんのりとウグイス色で、塩分が強め。よく温まり、上がった後もしばらくぽかぽかと心地良いのです。市民浴場には珍しく、シャンプーやリンス、タオルのレンタルも可能で、身軽に立ち寄ることもできるのが嬉しいところ。

 

そして小さな空間だからこそ、一緒に使っている人同士、時に会話に華が咲くのは市民浴場ならでは。

 

 

 

 

どちらかというとローカル寄りのスポットをご案内してきましたが、宿泊もできるカフェバー「123MUSIC」、創業40年の店を継承したスナック「ニューしゃるまん」など…旅行の思い出作りにも最適な、個性的なお店も増えています。

 

こちらは吹きガラス体験ができるガラス工房「studio iiro」。ガラスの加工から模様付けのデザインまで自分で行い、世界に一つだけのグラスを製作できます。

 

 

 

 

 

***

 

 

長い歴史の中で、人々の信仰と関心を集めてきた伊豆山神社と、その周辺。土石流災害からの復興が今なお続く地域でもあります。

 

伊豆山の穏やかであたたかい空気に、いつも元気をもらっている私。

 

この場所を守り発展させていこうとする人々の歩み、地域を元気にする取り組み。訪れること、地元のお店を利用することで、少しでも応援できればと思っています。