twitter instagram LINE

DATE2025.02.16

この記事を書いた人

メアリー

Vol5. 熱海に暮らす。自然と生きる。 海と山と温泉と共に、豊かに暮らしていくための防災マニュアル

 

海あり、山あり、温泉あり。豊かな自然に抱かれた別荘地としての歴史を持ち、近年も首都圏からの移住先としていっそう注目を集める熱海。

 

熱海で暮らす、熱海で事業を始める。そう考えた時に、避けては通れないのが、自然災害のリスクです。

 

熱海での災害をどのように考え、想定し、備えれば良いのか。

 

 

 

 

今回は連載、第5回目。

 

熱海で暮らしている方・熱海と他の地域を行き来している方……さまざまな属性の方と防災について話し合う「防災座談会」のレポートをお届けします。

 

 

◆ 座談会メンバーのプロフィール ◆

 

 

 

 

三好さん(熱海在住):マチモリ不動産代表。東京や神奈川でビル管理会社に勤務した後、熱海に移住。
 
 
 
Wさん(東京在住):熱海には半年に1回程度訪れて、家具の搬入やディスプレイの手伝いを行う。東京に住む前には、三浦海岸の海から1分の場所に暮らしていた経験あり。
 
 
 
Hさん(東京在住):作家・ライター。取材のため、1~2ヶ月に1回の頻度で熱海に訪れる。
 
 
 
Sさん(神奈川・熱海の二拠点):熱海市内の会社に勤務。週の半分ほどは熱海で暮らし、仕事をしている。地元の岩手県で、東日本大震災を経験。防災に対する意や知識、技能を認定する「防災士」の資格を持っている。
 
 
 
メアリー(熱海在住):ライター。数年前に東京から熱海へ移住。
 
 
 
 
 
 
 

第5回:話し合い、関係し合うことが、防災の第一歩

 
 
 
 

メアリー「出身も、これまでの経歴も、現在の拠点もさまざまな皆さん。住む場所に関するこだわりや、意識しているポイントがあれば、聞かせていただけますか?」

 

Sさん「海の近くに住みたいという気持ちが昔から強くて。だから今は横浜と熱海で暮らしていますが、津波が起きた時にどこまで逃げるか、ということは意識していますね。」

 

Wさん「私は神奈川県の三浦海岸に住んでいた時期があります。当時は防災について深く考えていませんでしたが、私が転居したあと大雨が降り、一時は道路が使えない状態に。もしそのまま暮らしていたら、1週間ほど孤立していたかもしれません。それ以来、防災を意識するようになりました。」

 

Hさん「私は川が好きで、今の住まいも川のそばにある家を選びました。引越しの際にハザードマップは確認しましたし、地震などのニュースがあると気を引き締めるけれど、常に防災意識が高いとは言い難いかもしれません……。」

 

メアリー「日常生活の中で何か、災害時への備えはされていますか?必須のグッズや実践している工夫があれば教えてください。」

 

Wさん「出先では地震、停電でエレベーターが使えなくなることを想定して、建物内の階段の場所を必ず確認しています。エレベーターに乗る時には「非常用ボックス」の有無も見ています。」

 

 

 

 

Hさん「あのイスみたいなもの、中に防災グッズが入っていたんですね!私は、仕事で地方へ行くことが度々あります。以前の記事で三好さんが、ホテルに泊まるときに避難経路を確認するというのを読んで、今後は自分も実践したいと思っています。」

 

第3回:災害の影響を想定するときの「3つの特性」ってなあに?

 

 

 

 

三好さん「これも以前の記事で話しましたが、モバイルバッテリーは常に持ち歩いています。災害時、連絡を取り合うとバッテリーの減りも早いですし、複数回充電できるタイプが安心ですね。それ以外では、防寒具を1枚、余分に持って出るようにしています。」

 

第2回:備えあれば憂いなし。でも、なにを備えたらいいの?

 

Wさん「私もモバイルバッテリーは必ず携帯していますが、他にも緊急で必要になるものを入れた「防災ポーチ」を用意したいと思っています。小型であれば、折り畳み傘と同じような感覚で、常にカバンに入れておくのも苦ではないですし。」

 

 

 

▲ イベント後、さっそく持ち歩き防災アイテムを自作したWさん

 

 

メアリー「では、実際に災害が発生した時の対応についても、考えてみましょう。例えば熱海にいる時に災害が起きたら、皆さんはどのように行動しますか?

 

Sさん「日中、銀座商店街にいる場面を想定してみましょうか。津波が発生した場合、私は高台を目指して逃げると思いますが、実際のところ、どこまで逃げれば安全といえるのでしょうか?」

 

三好さん「目安としては、熱海市役所より上、ですかね。そこまで移動する時間がない場合は、鉄筋コンクリート造の建物3階以上に逃げるのが望ましいです。」

 

Sさん「私は熱海市外から来たお客様をアテンドしていることも多いので、そうした方々と一緒に逃げることになりそうです。一時的な避難ができたとして、住民でない人は熱海市の避難所の中に入れないはず。どうすれば良いのか……。」

 

Wさん「この場にいる、東京在住のメンバーにも関わってくる話ですね。熱海は観光の街。災害時の非居住者の受け入れについては、体制が整備されているのでしょうか。」

 

三好さん「災害時に外部の人を受け入れることを規約で定めているマンションもあります。伊豆山の土砂災害の時は、マチモリ不動産が所有している物件でも被災者の受け入れを行いました。今後、市内の空き家や宿泊施設、民泊を災害時には開放できる仕組みを作っていきたいとも考えています。」

 

 

どんな情報や取り組みがあれば、熱海を訪れる人たちが災害時にも安心して行動できる?

 

 

Sさん「現状、宿泊施設や観光案内所など、みんなが行きそうな場所では、災害時に取るべき行動までは案内してもらえないですよね。」

 

 

 

 

Hさん「駅や市内の飲食店に置かれている観光パンフレット、フリーペーパーに防災情報を掲載すれば、旅行で来た人たちの目に触れやすいかもしれません。」

 

Wさん「佐渡の自治体の観光サイトでは、旅行中の防災について専用ページが用意されています。熱海市のサイトにも、このような案内があると良いのですが。 」

 

さど観光ナビ(佐渡市公式観光情報サイト):https://www.visitsado.com/usefulinfo/emergency/

 

メアリー「マチモリ不動産のホームページで連載している防災関連の記事は、熱海に居住する方を主な読者として想定してきました。確かに、非居住者の方が参照できるメディアも必要ですね……。最後に皆さん、今回の座談会を通じて、感じたことはありますか?」

 

Wさん「防災は、「わからないことがあたりまえ」のジャンル。こうして、ラフに話せる場、情報共有ができる環境づくりが大切だなと思いました。」

 

 

 

 

Sさん「私は東日本大震災が発生した時、盛岡市で一人暮らしをしていましたが、自宅に備蓄がなく、姉の彼氏の実家に身を寄せました。熱海に通う場合でも、地域に親しい人がいれば、いざという時にその人を頼ることができる。知り合いがいる、ということの重要性を改めて感じました。」

 

三好さん「なるほど!地域と積極的に関わる「関係人口」になること、それ自体が防災なのか……!

 

 

***

 

 

 

 

今回は、熱海にさまざまな形で関わっている皆さんと、防災をテーマに座談会を行いました。

 

自然災害と、それに対する備え。

 

ひとりで考えているとつい難しく感じ、不安な気持ちになってしまうこともありますが、みんなで集まり、経験を共有し、意見を交換することで、前向きなアイデアが生まれていきます。

 

知り合いを作ること、すなわち、地域と積極的に関わることも、防災の第一歩。これは、座談会のメンバーのように仕事で訪れる人や、旅のリピーターといった「関係人口」の多い熱海で防災を考える時、特に重要になってくる視点かもしれません。

 

マチモリ不動産では今後も、このような場を定期的に設けていきたいと考えています。災害への備え、災害時の行動といった知識の周知に留まらず、イベントに参加すること自体が「知り合いを作る」という防災に繋がることを目指して!

 

 

 

関連記事

 

vol.1 熱海に暮らす。自然と生きる。 海と山と温泉と共に、豊かに暮らしていくための防災マニュアル【ハザードマップってなぁに?どんな情報を見たらいいの?】

 

vol2. 熱海に暮らす。自然と生きる。 海と山と温泉と共に、豊かに暮らしていくための防災マニュアル 【備えあれば憂なし。でも、何を揃えたらいいの?】

 

「斜都」熱海の魅力と課題。身近なことから知ろう・見よう|防災まち歩きReport

 

Vol3. 熱海に暮らす。自然と生きる。 海と山と温泉と共に、豊かに暮らしていくための防災マニュアル【災害の影響を想定する時の「3つの特性」ってなあに?】

 

Vol4. 熱海に暮らす。自然と生きる。 海と山と温泉と共に、豊かに暮らしていくための防災マニュアル【ペットと防災】