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DATE2024.09.12

この記事を書いた人

メアリー

Vol3. 熱海に暮らす。自然と生きる。 海と山と温泉と共に、豊かに暮らしていくための防災マニュアル

 

海あり、山あり、温泉あり。豊かな自然に抱かれた別荘地としの歴史を持ち、近年も首都圏からの移住先としていっそう注目を集める熱海。

 

熱海で暮らす、熱海で事業を始める。そう考えた時に、避けては通れないのが、自然災害のリスクです。

 

熱海での災害をどのように考え、想定し、備えれば良いのか。

 

 

 

 

 

全6回に分けて、マチモリ不動産・三好代表にお話を伺います。

 

 

今回は第3回目。災害が発生したら、自宅や職場、普段の生活圏で何が起こるのか。より具体的に想定し、備えるための視点を学びます。

 

 

 

今いる場所、建物の特徴ってなんだろう?どんなことに備えたらよい?

 

 

メアリー第2回のお話では、災害の『3つの期間』について教えていただきました。発災期、被災生活期、復旧期。それぞれの期間を想定し、何が起きるか考えてみることで、準備するべきモノ・コトが見えてきました。」

 

 

三好「大切なのは、想定しておくこと。想定ができていれば、いざ災害が起こっても、パニックにならず冷静に対応できるものです。今回は、想定をより深めていくために必要な観点、『3つの特性』について説明します。」

 

 

三好「自分の家、あるいは職場、学校…どんな場所でもこの3つの切り口から考えてみることで、災害時に発生しうることを具体的に想定できるようになります。」

 

 

 

 

 

 

そのエリア、その建物、そこにいる人。まずは観察してみよう!

 

 

メアリー「まずは、地域特性ですか。地形の特徴ということなら、第1回に登場したハザードマップが役に立ちそうですね。」

 

 

三好「地盤が強いか。川や海、崖が近くにあるか。こういった点が地域特性ですね。ハザードマップを見るのはもちろん、実際にその街を歩いてみるのもおすすめです地形だけでなく様々な特徴が見えてくるはず。例えばそのエリアに木造家屋が多いなら、地震により火災が発生した場合、被害が拡大しやすいと考えられます。」

 

 

メアリー「熱海でいえば、細い道路が多いというのも特徴ですよね。」

 

 

三好「そうですね。災害が起きると、間違いなく渋滞が発生するでしょう。つまり、車での避難は想定から外すべきです。」

 

 

ポイント

自分がいるエリアの地形や、周辺環境を知ろう!(地域特性)

 

 

メアリー「次が、建物特性…築年数や、木造、鉄骨、RCの違いのようなことですか?」

 

 

三好「ええ。他には、建物の形。例えば、長方形のビルを想像してみてください。東西の方向に長く、南北の方向に短い形をしている場合、地震が起きたらどのように揺れるでしょうか。」

 

 

メアリー「えっと…その場合は、南北の方に揺れると思います。」

 

 

三好「その通り。建物の幅の短い方向のほうが、揺れの影響を受けやすくなりますね。L字型の建物では、両方向からの力が集まる”L”の左下、角の部分が弱くなる。1階が駐車場になっているような場合は、壁の少ない1階から崩れやすい。」

 

 

メアリー「確かに、特別な知識がなくても、イメージがつきます。建物の形がわかっていれば、力に対して弱い部分がわかる。そうすると、部屋のどの方向に家具を置いたら倒れにくいか、といった想定もできますね。」

 

 

三好水道、電気、ガス等の設備も、建物特性として押さえておくべきところ。例えばガスなら、災害時には都市ガスのほうがプロパンガスより復旧に時間を要します。都市ガスの住宅であれば、携帯ガスコンロと、ガスボンベの本数を多めに備えておく、といった対策につながるわけです。」

 

 


 

 

メアリー「私の住んでいるマンションにはエレベーターが付いているのですが…エレベーターに乗っている時に地震が起きたら、エレベーターが止まって閉じ込められてしまうのでは!」

 

 

三好「確かに心配になりますよね。けれど今のエレベーターは、地震の揺れを検知したら最寄りの階まで行ってから止まる仕組みになっています。長時間閉じ込められるという状況は起きにくくなっていると言われていますが、もしもの時の対処方法を知ることも大事。またエレベーター内に備蓄ボックスが設置されているマンションやオフィスなどもあるので、確認しておくのもいいですね。」

 

 

メアリー「たしかに、対処方法を知ったら、すこし安心しますね。備蓄ボックスについては出先でも確認してみます!」

 

 

三好「また、地震なら電気が止まってエレベーターが使えなくなった後も想定しておいたほうがいいですね。そういった時に備えて、階段の場所をきちんと把握しておく。私は出張で外泊することも多いのですが、ホテルにチェックインしたら避難経路をまず確認しています。」

 

 

 

ポイント

自分がいる建物の構造や、設備を知ろう!(建物特性)

 

 

メアリー「自宅以外の場所についても、特性を理解していれば被害が想定しやすいですね。私の職場は観光客の多いエリアで(地域特性)、築年数の古いRC造のビル(建物特性)。災害発生時に自分がオフィスにいたとしたら…。」

 

 

三好「観光地という点でいえば、街に馴染みのない旅行者はどこへ逃げれば良いのか、とっさには判断できない。近くのビルに殺到するかもしれません。人が大勢集まる場所はそうした群集心理が働きやすい。これは地域特性ともいえますし、利用者特性の話にも関わってきます。」

 

 

参考:防災ニッポン 外出先や観光地で地震!慌てずに行動するためこれだけは知っておこう

 

 

 

 

メアリー「利用者特性とは、その場所に来る人の属性、ということですか?」

 

 

三好「特に住居について考えてみるなら、そのマンションには高齢者や子供が多いか、体の不自由な方がいるか、といったことが利用者特性になります。単独での避難が容易でない人たちが多ければ、それを想定して防災計画を作る必要があるわけです。」

 

 

 

 

 

 

メアリー「犬や猫といったペットたちも、利用者特性として考えるべきでしょうか?」

 

 

三好「良い視点ですね。お隣の伊東市はペットフレンドリーな自治体で、避難所にペットスペースを設けています。熱海市でも市議会で度々、避難災害時のペット対応やペット同行避難訓練について質疑が交わされています。しかし今のところ、具体的な形での対策は取られていないようです。」

 

 

参考:伊東市HP 避難所におけるペットスペース(地震の場合に限る)

 

 

 

ポイント

自分がいるエリア・建物の住民や、利用者を知ろう!(利用者特性)

 

 

メアリー「同じエリアや建物でも時間帯が違えば、利用者層が変わるということもありますよね。」

 

 

三好「ええ、想定できるケースは無数にあるのです。全てを洗い出そうとすると、とても大変。なので、まずは今この瞬間、のようにポイントをひとつに絞ってみましょうか。」

 

 

 

「今、ここ」を仮定して、考えてみよう!

 

 

メアリー「では、私は今オフィスにいるので、この状況で災害が発生することを想定してみます。最近の起きた台風10号でこの辺りも大きな影響を受けましたから、ケースは台風としてみました。」

 

 

 

 

三好「①②は地域特性、③④は建物特性、⑤は公共交通機関での通勤者がいるという利用者特性ですかね。一言で台風といっても大雨や暴風と様々な要素が含まれていますから、3つの特性で分けて考えてみることで、被害を想定しやすくなったんじゃないでしょうか。」

 

 

メアリー「はい。そしてこの表では、事前にできることと、事後に行うこと。そして、自分でできることと、協力し合うこと。これらを分けて考えることができるのも良いですね。実際に災害が起こった時にも、この表が手元にあれば落ち着いて対応できそうです。」

 

 

 

ポイント

実際の場所を想定して、備えと対処を考えてみよう!

 

 

 

第2回で取り上げた、災害の「3つの期間」に加えて、自分の住んでいる場所、訪れている場所。

 

その「3つの特性」を踏まえることで、より抜け・漏れなく災害の影響を想定でき、具体的に対策を考えることができました。

 

 

また、ペットと一緒に暮らしている方が決して少なくない熱海市。ペットと暮らしている家庭の災害対策について、行政はもちろん民間でも、活発に取り上げられていくべきだと感じました。

 

そこで、第4回は「ペットと防災」について。ペットと暮らしている方や、災害時のペットレスキューに携わる方のお話を聞きながら、大切な家族であるペットと豊かに暮らす方法について考えてみます!

 

 

 

 

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