twitter instagram LINE

DATE2026.01.03

この記事を書いた人

ひらい めぐみ

元母校を、街の新たな拠点へ。AJIRO MUSUBIが目指すこれから

 

JR伊東線で、熱海駅から3駅先にある網代。江戸時代から港町として栄え、現在も網代港では豊富な水揚げ量を誇ります。のどかな風情が感じられる街として、移住者がじわじわ増えてきているエリアでもあります。

 

 

 

 

そんな網代に2024年4月、街の新たな拠点が誕生しました。その名も「AJIRO MUSUBI」。2021年3月で廃校した網代小学校をリノベーションし、カフェやコワーキングスペース、レンタルオフィスなどが入居しています。

 

今回は、AJIRO MUSUBIを立ち上げた一般社団法人あじろ家守舎の代表理事・山﨑明洋さんが、施設を案内してくださることに。施設を回りながら、AJIRO MUSUBIが生まれるまでの経緯や、網代の街についてお話をうかがいました。

 

 

 

 

▲ カフェスペースでは、魚を使ったからだに優しいプレートやカレー、おにぎりやスイーツまで楽しめます◎

 

 

Uターンから始まったまちづくり

 

 

山﨑さんは網代で子ども時代を過ごし、大学卒業後、就職を機に上京。2021年に熱海へUターンしてきたのだそう。

 

 

 

 

「実は、地元の網代を盛り上げるためにUターンしてきたわけではないんです。コロナ禍や、両親が高齢になってきたことなど、いくつかの理由が重なり、帰ってくるなら今かな、と思ったのが正直なところです。それまでは広告関連の仕事をしていて、まちづくりにかかわわることになるとは想像もしていませんでした」

 

個人事業主として業務委託の仕事をしていた山﨑さんは、仕事場としてコワーキングスペース「naedoco」を契約。そこで網代に移住してきた人たちと知り合うと、「せっかく住んでいるのだから、街をおもしろくしたいよね」という話に。

 

 

 

 

「網代はなんと言っても漁業の街なので、街を盛り上げるには漁業関連のメンバーが必要だと思いました。同じくUターンしてきた後輩に声をかけたところ、漁師をしている人を紹介できます、と。そうしてnaedocoをきっかけに出会った4人で、網代のまちづくりに取り組む「一般社団法人あじろ家守舎」を立ち上げました」

 

網代小学校の活用の話が上がったのは、あじろ家守舎のメンバーの一人がオフィスを探していたときでした。

 

「メンバーのうちの一人が、自身の会社の事務所が手狭になってきたため熱海市へ「旧網代小学校に入居できないか」と相談しに行ったところ、「それなら校舎全体を活用しないか」と提案されたんです。過去にも活用の話が進んでいたものの、住民の人たちから納得を得られず、一度頓挫してしまったみたいなんですよね。ただ、私の叔父が町内会長やってたり、後輩のお父さんが町内会長やっていたりしたことで、私たちなら地元の人たちとの連携ができ活用計画が進みそうと思っていただいたようです」

 

網代小学校は、山﨑さんにとって母校でもあります。ここをどのような場所にしたいと考えていたかお聞きすると、網代の持つ課題が見えてきました。

 

 

 

 

「これまで網代には、人が集まれるような場所がありませんでした。実際、メンバーたちで打ち合わせをしようにも、話せる場所がなかった。だから、ここに、人が集まって、「この街がいいな」と思ってもらえる場所を作りたいなと思いました。ただ、網代小学校が建つこのエリアは、用途制限で幅広い用途での活用が厳しく、学校くらいしかできなかったのです。そういった制限のなかで、いかに街の拠点として人が集まりやすい場所を作れるか、というのがひとつの大きな課題でしたね」

 

網代小学校の旧校舎は本来、事務所としても利用することができなかったそうですが、熱海市が動いてくれたことで、県の特例措置として利用が認められました。

 

 

網代小学校の記憶をつなぐAJIRO MUSUBI

 

 

AJIRO MUSUBI誕生の経緯を教えていただいたところで、施設の案内をしていただくことに。1階の入り口に入ると、まず目を引くのが壁に描かれた魚の絵。こちらは約50年前の卒業生たちが卒業記念として制作した壁画なのだとか。

 

 

 

 

「1階のオープンスペースは、もともと食堂だった場所です。ここに6学年みんなが集まって、上級生は下級生の面倒を見ながら食べていました。そういった意味では、今も昔も人とのつながりが生まれている空間ですね」

 

 

 

 

 

魚の壁画の隣には、大きなグランドピアノもあります。

 

「こちらのピアノは、現校舎が建った昭和52年に、地域の漁業会社である網代漁業㈱が学校に寄贈されたものなんです。ストリートピアノがある場所としてウェブにも載せているので、それを見て弾きに来てくれる人もいます」

 

オープンスペースのほかにも、運動器具や音楽室の楽器、昔の熱海の様子を映した写真が置かれている空間や、子どもたちが遊べるキッズスペースも。

 

 

 

 

 

「網代はやっぱり漁師町なので、手先が器用な人が多いですね。地元の人たちが趣味でつくった、手作りの作品も飾っています」

 

 

 

▲展示されていた昔の写真の一部。写真からも、漁師街として栄えてきた土地だったことが見てとれます

 

 

網代出身である山﨑さんから見て、網代はどんな街かお聞きしてみると、こんな答えが。

 

「一言で言えば、つながりが強い街です。他と比べても特に強い。たとえば、赤い羽根募金なんかやると、圧倒的に募金率が高いと言われたり。なにかをみんなでやろうってなったときの協力関係がすごく強い街かもしれないですね」

 

このほか、研修室や貸会議室、コワーキングスペースなども案内していただきました。

 

 

 

 

 

「コワーキングスペースは、8:00〜21:00の営業時間であれば365日いつでも利用できます。登記も可能で、現在は数名の個人事業主の方が登記されています」

 

 

AJIRO MUSUBIから、網代のまち全体へ

 

 

AJIRO MUSUBIが開業して約1年半。この間にも、網代では新たなつながりや変化が生まれています。

 

 

 

 

 

「私たちのもっとも重要な役割は、外部から来た人と地元の人たちをつなぐ「橋渡し役」。移住や2拠点生活の方など、これまで地域活動に参加できなかった方も、街へのつながりを持っていただくよう活動しています。特に祭りは、地元の方たちにとって非常に大切で、アイデンティティそのものですが、少子高齢化で担い手が不足しています。外部の人が参加しやいような橋渡しとなることで、地元の文化を守っていければと思います」

 

 

 

 

地元の方たちへの認知度は高まってきたものの、街としての課題はまだまだあるという山﨑さん。最後に、今後の展望についてうかがいました。

 

「AJIRO MUSUBIが盛り上がったとしても、正直、この場所だけで網代を盛り上げるのは厳しい。目下の課題は、街全体で人を呼べるようになることですね。ここ最近は、空き家の活用に着目しており、空き家活用の新たな会社を立ち上げました。でも私たちがやりたいのは、単なる不動産ビジネスではありません。まず自ら空き家を活用して、その魅力を引き出す。実際に汗を流し、試行錯誤を重ね、その過程そのものが伝わることで、「面白そう」「私もやってみたい」と感じる人が現れる。そんな連鎖を生み出したいんです。一軒、また一軒と個性的な店が増え、その噂を聞きつけた人たちが外から訪れる。AJIRO MUSUBIだけでなく、「網代に行けば何かがある」、そう期待してもらえる街に。空き家が人を呼び、夢を育てる場所になっていく。それが私たちの描く未来です」

 

 

 

 

小学校としての役目を果たした後も、網代の人と人をつなぐ場として街を見守りつづけるAJIRO MUSUBI。

 

これからさらに盛り上がっていく網代の今後がたのしみです。

 

AJIRO MUSUBIのレンタルオフィス募集詳細はこちら▼

 

漁師町・網代の旧校舎で働く。地域とつながるレンタルオフィス「AJIRO MUSUBI」

 

 

———-

 

AJIRO MUSUBI

https://www.ajiromusubi.jp/

〒413-0103

静岡県熱海市網代195

TEL / 050-8893-2726

開館時間 10:00〜17:00

閉館日 毎週火・水・木曜日